魅惑の果実
そっと降ろされた場所はベッドの上だった。


二度目の寝室。


ひんやりとしたシーツの感覚。


頬に触れる桐生さんの指先からは温もりを感じる。



「お前は不思議な奴だな」

「桐生さんこそ不思議だよ……」

「俺が怖くないのか?」



たまに見せる鋭い視線や空気にゾクっとすることはある。


でも怖いと思った事は一度もない。


出会った瞬間から、桐生さんの魅力に惹かれていたからかもしれない。



「全然。 だって、桐生さんは優しいから……それに、いつも凄く温かい」

「そんな事を言うのはお前くらいだ。 お前と居ると調子が狂う」

「私の方が狂わされてる」



唇が重なり、胸が高鳴る。


深く甘い口付け。


応えるだけで精一杯だった。


前回のキスとは違う。


あやすようなキスじゃなくて、求める様なキス。


桐生さんの大きな手が肌をなぞる。


なんとも言えない高揚感に襲われる。


一通りの経験はしてる。


それでも、こんなに痺れる様な感覚に襲われたのは初めて。


いつも相手にただ身体を委ねてた。


けど、今は桐生さんに触れたくて、欲しくて堪らない。






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