魅惑の果実
夏休みはあっという間に終わり、明日香との寮生活が始まった。


やっぱり一人でいるより明日香がいてくれた方が楽しい。


それに安心する。



「桐生様とはどういうところでデートするの?」

「…………」



お昼休み。


私はお箸を片手に固まった。


デート……。



「あの日以来会ってもなければ、連絡すらまともに取ってない……」

「えぇ!? 信じらんない……付き合ってるんだよね?」

「……多分」

「多分って、何それぇ〜!!」



付き合おうってハッキリ言われてない。


好きとさえ言われてない。


でも体の関係はできたわけで……あれ?


これってセフレ?


いやいやいや!!


違うよね!?



「ちゃんと話した方が良いんじゃないの?」

「あ、うん……そうだよね……」



そうだけど、そんな簡単じゃない。


怖い。


話して私の勘違いだったら?


そうだったら今度こそ一緒にいられなくなる。


聞きたいけど聞けない。


暫く様子を見よう。


このまま色んなことを気にせず、桐生さんとの時間を満喫したってバチは当たらないよね。





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