魅惑の果実
翌朝、思ったよりも早くに目が覚めてしまった。


二度寝したら寝坊しちゃいそうだし……このまま起きてるのが無難だよね。


明日香は隣のベッドでまだ気持ち良さそうに眠っている。


起こさないようにソーっとね。


たまには朝ご飯でも作るかな。


諸々の身支度を済ませ、キッチンでご飯を作っていたら、隣の部屋からゴソゴソと音がした。



「ん〜……おはよ……」

「おはよう。 もうすぐ朝ご飯出来るから顔洗ってきなよ」

「うぃ〜……」



寝坊助明日香は目を擦りながら、洗面室にトボトボと向かった。


いつもと逆でなんか新鮮。


久しぶりに早起きしたけど、早く起きるとこんなに気持ちいいんだなぁ。


すっかり忘れてた。



「ふぁ〜……良い匂いぃ〜。 美月が朝ご飯作るとか珍しいじゃん」

「そうだよねぇ、自分でもビックリ」

「あははっ、でも嬉しい! ありがとっ」



伸びをしながら椅子に座った明日香の前に、冷たいルイボスティーを入れたグラスを置いた。



「いただきまぁす」

「いっただっきまぁす」



二人の声が重なり、朝からワイワイ盛り上がりながらご飯を食べた。





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