魅惑の果実
入店してまだ日の浅い瑠璃ちゃん。


着実に人気は上がってきていた。


最初は殆ど飲めなかったお酒も、今では普通に飲めるようになっている。


こういうの適応能力っていうのかな?


とにかく凄いと思った。


一生懸命な姿も見ていて応援したくなる。


このお店のキャストにはいないタイプ。


まさに天真爛漫という言葉がピッタリな人。



「莉乃ちゃんだぁ〜」



控え室で帰る準備をしていると、胸元まで真っ赤にした瑠璃ちゃんが入ってきた。


よく見ると腕も真っ赤。



「大丈夫?」

「あ〜うん! 大丈夫!! もう帰っちゃうの?」

「うん、今日は予定があるから」

「そっかぁ。 私ね、莉乃ちゃんが居てくれて良かったってすっごく思ってる」



な、何急に!?


結構酔っ払ってる!?



「キャバクラって怖いイメージがあったんだけど、莉乃ちゃんがいてくれるから凄く楽しい」

「大袈裟な……。 私本当にいるだけじゃん」

「そんな事ないよぉ!! いっつも助けてもらってるし、心強い!!」

「あははっ、ありがと。 あんま飲み過ぎないようにね。 じゃ、お疲れ」

「うん、お疲れ様ぁ」



大袈裟だなとは思うけど、そう言われて悪い気はしなかった。





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