魅惑の果実
「何だ、てめぇ」

「汚い手で触るな」



翔の胸元を掴み上げた男が一瞬怯んだ。


綺麗な顔が凄むと凄い迫力。


心配して見ていると、翔は私を見て笑った。



「この業界で生きていたいなら、おとなしくしててよね」

「は? 何でてめぇにんな事言われなきゃなんねぇの? 引っ込んでろよ」

「翔!!」



男が翔に殴りかかり、思わず大きな声が出た。


すると、男は手を止め固まった。



「翔って……お前っ、まさか……キャリーの……」

「おいっ、嘘だろ!?」

「でも確か一人息子がいたよな!? しかもこいつハーフじゃね!?」



キャリー?


男たちはみんな青ざめた顔をしている。


翔は男の手を払いのけた。



「美月、行こう」

「あ、うんっ」



私は美羽の手を取り、翔と一緒に部屋を出た。


その後ろには美羽の友達らしき女の子たちもちらほら。


それにしても、翔っていったい何者?


業界のお偉いさんの子供なのかな?


そんな雰囲気だったよね?





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