魅惑の果実
VIPのフロアを出ると、明日香が駆け寄ってきた。



「何!? この大人数!! ってか、え!? VIPでなにしてたの!?」

「いや、うん……まぁ、色々あって……取り敢えず私出るけど、明日香はどうする?」

「美月出るなら私も出る〜」

「いいの?」

「もういいや!!」



あっけらかんとしてる明日香。


この微妙な雰囲気の中、明日香の存在はかなり助かる。



「翔はどうする?」

「俺は友達がいるからまだいるよ」

「そっか、分かった。 今日は本当にありがとう」

「どういたしまして。 また連絡するよ」



何事も無かったかのように翔に笑顔で見送られた。


翔と出会えて無かったら、もっとややこしい事になってただろうな。


本当に感謝。



「今の誰!? メッチャいけめぇん!!」

「なんか友達になった」

「桐生様に暴露たらヤバイんじゃないのぉ?」



ニヤニヤする明日香にため息が漏れた。


相手は桐生さんだよ?


こんな事でヤキモチをやくとは思えない。


「だから?」とか言われちゃいそう。


そして私が傷付いて終わり。


恋は好きになった方か負けって言うけど、きっとこういうことだよね。






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