魅惑の果実
段々とお店の中が混み始め、キャストも黒服も忙しかった。


半分は咲さんのお客さんなんじゃないの?って感じ。



「莉乃さん、お願いします」



店長に呼ばれ、私は一度お客さんとご馳走様をして席を離れた。


次から次へと色んな席に付くと疲れる。


早く帰って熱いシャワー浴びたぁい!



「咲さんのお客様で、VIPだから粗相のないようにな」

「はい」



VIPルームの前に着くと、店長は緊張した面持ちで深呼吸をした。


え!?


店長が緊張するくらいのVIPなの!?


まだペーペーな私がヘルプでついちゃって大丈夫?


ーコンコンコン。



「失礼致します。 莉乃さんです」



逸物の不安を抱えながらも、私は部屋の中へ足を踏み入れた。



「失礼致します。 莉乃で……っ!?」



え?


えぇぇぇぇぇ〜!?


桐生さんじゃん!!


ちょっと店長!!


ミスチョイス……って、もう居ないし!!


振り替えると、店長は部屋を出て行った後だった。


もっとお客さんの好み把握して付け回ししてよね!!


私じゃ門前払いされるのがオチだよ……。





< 19 / 423 >

この作品をシェア

pagetop