魅惑の果実
第二話 甘い誘惑
*****
ん〜……。
んんん〜……。
「わっかんないよ〜」
「さっき解いたばっかりでしょ」
「イダっ」
デコピンされ、私は床にゴロンと横になった。
夏休み、週に二回明日香のお姉ちゃんの美香ちゃんが、わざわざ寮まで勉強を教えに来てくれることになっている。
なんてったって有名大の法学部の美香ちゃんの頭の良さは、半端ない。
「どうしちゃったの? 今日は集中力がないじゃない」
「ごめんなさい」
「少し休憩しましょうか」
そう言うと美香ちゃんは腰をあげ、キッチンの換気扇を回し、その下で煙草を吸い始めた。
集中出来てないのは自覚してる。
理由もチョット分かってる。
あれから何度か桐生さんとはお店で会った。
咲さんが席につく迄の本の僅かな時間、二人で話をする程度。
今では桐生さんの事は怖いとは思わない。
偉そうで感じ悪いところは相変わらずだけど。
「美香ちゃんさぁ、お店のお客さんでこの人いいなぁ〜って思う事ないの??」
美香ちゃんは煙草を片手に驚いた顔を向けた。
ぷっと吹き出し、煙草を灰皿に押し付けた。
「あはははっ、ないない! 私の働いてるお店は年配の太客が多いから、パトロンとして考える人はいるけど、そういう対象として考える人はいないかなぁ」
ん〜……。
んんん〜……。
「わっかんないよ〜」
「さっき解いたばっかりでしょ」
「イダっ」
デコピンされ、私は床にゴロンと横になった。
夏休み、週に二回明日香のお姉ちゃんの美香ちゃんが、わざわざ寮まで勉強を教えに来てくれることになっている。
なんてったって有名大の法学部の美香ちゃんの頭の良さは、半端ない。
「どうしちゃったの? 今日は集中力がないじゃない」
「ごめんなさい」
「少し休憩しましょうか」
そう言うと美香ちゃんは腰をあげ、キッチンの換気扇を回し、その下で煙草を吸い始めた。
集中出来てないのは自覚してる。
理由もチョット分かってる。
あれから何度か桐生さんとはお店で会った。
咲さんが席につく迄の本の僅かな時間、二人で話をする程度。
今では桐生さんの事は怖いとは思わない。
偉そうで感じ悪いところは相変わらずだけど。
「美香ちゃんさぁ、お店のお客さんでこの人いいなぁ〜って思う事ないの??」
美香ちゃんは煙草を片手に驚いた顔を向けた。
ぷっと吹き出し、煙草を灰皿に押し付けた。
「あはははっ、ないない! 私の働いてるお店は年配の太客が多いから、パトロンとして考える人はいるけど、そういう対象として考える人はいないかなぁ」