魅惑の果実
美香ちゃんは会員制の超高級クラブで働いている。


話に聞くところによると、そのお店で働いているキャストのお姉さんたちは、みんな容姿端麗、スタイル抜群、そして学歴もいいらしい。


夜働く女性の憧れのお店って言われている。



「なによ、もしかして客に惚れちゃったの?」

「惚れたって言うか、気になるって言うか、惹きつけられるって言うか……でもムカつくって言うか……」

「それ完璧惚れてるじゃないの。 ハッキリ認めちゃいなさいよ」



美香ちゃんが隣に座り、私はテーブルにうな垂れた。


桐生さんの事考えるとドキドキする。


咲さんと一緒に居るところをみると、ズキズキする。


話してるとムカムカする……でもホッとする。



「それで勉強も手につかないわけね。 恋してるわねぇ」

「恥ずかしすぎる……穴に入りたい」

「あはは、いいじゃないの。 どんな人なの?」



どんな人?


どんな人なんだろう?



「んー……まだよくわかんない」

「幾つぐらいの人なの?」

「多分、三十前半」

「美月からしてみたら、おじさんなんじゃない?」

「おじさんなんかじゃないよっ!!」



ガバッと顔をあげると、にやけ顔の美香ちゃんとバチっと目が合った。



「ぷっ、あはははははっ!!」



お腹を抱えて笑い転げる美香ちゃん。


もう、マジヤダ……なんなのこの羞恥プレイ。





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