魅惑の果実
狭い空間でジロジロ見られて落ち着かない。


しかもチョー笑顔だし……。



「そんなに見ないで下さい」

「えーいいじゃん。 減るもんじゃないし?」

「そういう問題じゃありません」

「あははっ! 美月ちゃんマジウケる!! 美月ちゃんが高校生って事、桐生は勿論知ってんだよね?」



頷くと更に笑い出す大雅さん。


もうやだ……。


何もしてないのにこの恥ずかしさ。


顔が熱い。



「いや〜いいネタ仕入れた。 このネタで暫く桐生で遊べそう」



ニヤニヤ笑う大雅さんに見つめられて、顔が引きつった。


桐生さんで遊ぶなんて、私には怖くてできないよ。



「大雅さんと桐生さんって本当に仲良いですよね」

「仲良いっつーか、腐れ縁? 悪友? 俺もあいつも周りの奴等から理解される様なタイプじゃねぇからなのか、一緒に居て楽なんだよね」



理解、か……。


桐生さんに大雅さんみたいな友達が居てくれて良かったなって思う反面、ちょっと妬けちゃうな。


私もサラッとそんな事が言えるくらい、桐生さんの事を知りたい。





< 256 / 423 >

この作品をシェア

pagetop