魅惑の果実
第十三話 モヤモヤとイライラ
パチっと目を開けると、まだ隣には珍しく眠っている桐生さんがいた。


まだ朝の五時。


桐生さんに擦り寄り目を閉じると、腰に手を回され抱き寄せられた。



「珍しく早起きだな」

「何か目が覚めちゃった。 でも、もう少し寝る」

「あぁ、そうしろ」



寝起きの掠れた声。


色気が半端ない。


そして心地良い。



「今日も仕事?」

「あぁ、だが早めに帰る」

「じゃあ待っててもいい?」

「当たり前だろう」



サラッと言われ頬が緩む。


私がここにいる事が普通になっている事が嬉しい。


一人でいる間は勉強でもしていよう。


夜ご飯は頑張って作ってみようかな。


舌の超えている桐生さんの口には合わないかもしれないけど、少しずつでも桐生さんの好きな味を知っていきたい。



「おやすみなさい」

「あぁ」



おデコに柔らかい感触。


私は甘えるようにギュッとしがみ付いた。


ウトウトしていた瞼は完全に開かなくなり、二度目の眠りについた。





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