魅惑の果実
ピザを食べながらひとりでテレビを観ている。


桐生さんはというと、仕事から帰ってきた筈が家でもノートパソコンを広げて何やら作業をしている。


仕事終わってないのに私が居るからって帰って来てくれたのかな?


そうなら嬉しいけど、まさか桐生さんがそんな事するわけないか。



「桐生さん食べないの?」

「俺はいい」



俺はいいって……一人じゃピザ一枚も食べ切れないよ。


残りはお皿に乗せてラップしとけばいっか。


いらなかったら捨てるだろうし。


それよりも、あの写真の女の人の事聞くべきだろうか……。


でも今書斎漁ってた事がバレるのはマズイし……クリスマス終わるまで我慢しよう。



「イヴも仕事?」

「イヴは空けてある」

「本当!?」

「あぁ」

「本当に本当!?」

「しつこい」



あまりの嬉しさに桐生さんに抱きついた。


桐生さんは膝に乗せていたノートパソコンを横に置くと、抱きしめ返してくれた。


少しだけでも一緒に過ごせればいいなって思ってたけど、まさか仕事休んでくれるなんて……これって愛されてると思ってもいいよね?





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