魅惑の果実
明日香と別れて私は仕事に向かった。


ヘアセットをして、メイクを直して、着々と用意を済ましていく。


お店のロッカールームでドレスに着替えながらついため息が漏れた。


この時期ドレスって辛いんだよね。


見送りの時チョー寒いし。


でもスーツは着替えるのが面倒くさい。


気持ちクリスマスを意識して、今日は真っ赤なロングドレス。


胸元とか背中が開いているから、働き始めてすぐの頃はドレスを着るのに抵抗があった。


でも今では全く気にならない。


むしろ胸をどう綺麗に盛るかとか、どういうドレスだったら身体のラインが綺麗に見えるかとか、そういう事ばっかり考えてる。


ドレスを着るのにもこのお店にも慣れてきたけど、そろそろ辞めますって店長に話さなきゃな。


流石に受験目前だし、大学入ったら暫くは学業に集中したい。


大学に無事入学出来ればの話だけど……。



「あ、おはよー」

「お、おはよ……」



ロッカールームに入ってきた瑠璃ちゃんは小さく返事をすると、そそくさと自分のロッカーへ行ってしまった。





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