魅惑の果実
咲さん一派に目を付けられてからというもの、瑠璃ちゃんは私に対してよそよそしくなった。
今では瑠璃ちゃんに挨拶するキャストは私くらいだから、他の人に対してどういう態度を取っているかは分からない。
本人が望んでいるのかそうでないのかは分からないけど、今や瑠璃ちゃんはこのお店のNo.2だ。
それもNo.1の咲さんとは僅差でいい勝負。
咲さん一派から嫌がらせを受けているのは私を含め、ほぼ全てのキャストが知っている。
表立った嫌がらせはないからか、黒服や店長は気付いてない。
以前瑠璃ちゃんに『お店に相談してみたら?』と言った事がある。
でも瑠璃ちゃんは笑って言った。
『そんな事したら余計酷くなるから』って……。
その時の泣きそうな笑顔がずっと忘れられない。
一緒の席についた時はさり気なくフォローを入れるようにはしている。
でも庇いきれない時ばかりで、その度に胸がムカムカする。
桐生さんの事もあるからか、今では咲さんに対して嫌悪感が酷くなっている。
「先に待機席行ってるね」
「…………」
返事はない。
私を巻き込まないようにしてくれてる。
その気遣いが嬉しくもあり、哀しくもある。
今では瑠璃ちゃんに挨拶するキャストは私くらいだから、他の人に対してどういう態度を取っているかは分からない。
本人が望んでいるのかそうでないのかは分からないけど、今や瑠璃ちゃんはこのお店のNo.2だ。
それもNo.1の咲さんとは僅差でいい勝負。
咲さん一派から嫌がらせを受けているのは私を含め、ほぼ全てのキャストが知っている。
表立った嫌がらせはないからか、黒服や店長は気付いてない。
以前瑠璃ちゃんに『お店に相談してみたら?』と言った事がある。
でも瑠璃ちゃんは笑って言った。
『そんな事したら余計酷くなるから』って……。
その時の泣きそうな笑顔がずっと忘れられない。
一緒の席についた時はさり気なくフォローを入れるようにはしている。
でも庇いきれない時ばかりで、その度に胸がムカムカする。
桐生さんの事もあるからか、今では咲さんに対して嫌悪感が酷くなっている。
「先に待機席行ってるね」
「…………」
返事はない。
私を巻き込まないようにしてくれてる。
その気遣いが嬉しくもあり、哀しくもある。