魅惑の果実
瑠璃ちゃんは今にも泣き出しそうな顔で、グラスに入ったシャンパンを飲み干した。


そしてまた直ぐにシャンパンを注がれる。


休む間も無く「飲め飲め」と言われている瑠璃ちゃんを見て、腸が煮え繰り返りそうだった。



「私には注いでくれないんですかぁ〜?」



普段は絶対しない、甘えておねだり作戦。


私のキャラじゃない。


けど、ここはこうするしかない。



「お前可愛いな! 名前何だよ!?」

「もぉ〜莉乃ですっ!! 忘れないで下さいよぉ〜」

「莉乃、お前俺の隣に来いよ」



絶対ヤダ!!


とは思うものの、拒否権はないわけで私はボス猿の隣へ……。



「瑠璃ちゃん邪魔なんだけどぉ〜」

「で、でも……」



私の事を心配してくれているのは瑠璃ちゃんの目を見ればわかる。


でも私だって瑠璃ちゃんの事が心配。


何より咲さんにムカついてる。


咲さんの思い通りに何てさせてたまるかっつーの。



「いいから退いてよね」



無理矢理瑠璃ちゃんを押し退けて、ボス猿の隣に座った。





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