魅惑の果実
そして無事に仲直り?した私たちは何故か二人で湯船に浸かっている。


背中に視線を感じながらも、恥ずかしくて顔を後ろに向けられない。



「今更何を恥ずかしがってるんだ。 お互い見るものは見てるだろう」

「それはそれ! これはこれなの! 明るいし、こ、声も響くし、な、な、なんかいつもより近いって言うか……」

「ごちゃごちゃ煩い。 こっちに来い」

「え!? うわっ! ヤ、ヤダ!!」



お腹に手を回され、無理矢理後ろに引っ張られた。


背中が桐生さんの胸板に密着してるっ!!


しかもお腹に手を回されたまま抱きしめられてる!


ゔ〜〜緊張する〜〜。



「ちゃんと飯食ってるのか?」

「へ? た、食べてるよ? 何で?」

「少し痩せたな」

「そうかな?」



そう言えば最近は色々悩んでて、食欲が落ちてたかもしれない。


冬休みの間にリバウンドしちゃいそうだけどね。



「最近ね、色々考えてたからか、小西に捕まった時の事を夢に見るようになっちゃって……今更怖くなってきちゃった……変だよね」

「それが人として正常だ。 美月、お前は俺の様になるな。 今のままでいろ」

「うん……桐生さんも今のままでいてね」





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