魅惑の果実
「初詣、行ってみたら?」

「でも……」

「彼氏いるの?」

「いないよ」

「二人で会ってみて、違うなって思ったらそれはそれでスッキリするじゃん? 友達だと思って気楽な感じでいいと思うよ」



誠治いい奴だし、少しくらいは加勢してあげないと可哀想だよね。


嘘は言ってないしね。



「じゃあ……初詣一緒に行ってこようかな……」

「うん、そうしなよ」

「お姉ちゃん、あの……相談にのってくれてありがとう」



恥ずかしそうな美羽の声につい頬が緩む。


今までたくさん傷付けた。


それなのに美羽は私の事をずっと慕ってくれた。


今更と思われるかもしれないけど、私の出来ることを美羽にしてあげたいと思う。



「どういたしまして。 初詣、楽しんでおいでね」

「うん!」



電話を切って、私は美容室に入った。


クリスマスとは思えないほど女の子達で混雑している。


夜働く女の子はこういうイベントの時こそ稼ぎ時。


私もそろそろ気持ち切り替えよう。





< 318 / 423 >

この作品をシェア

pagetop