魅惑の果実
目を開けると、ホッとした様な明日香と目が合った。


私……。



「ごめん……また寝ちゃってたんだね……」

「ううん、気にしないで。 身体はどう?」

「よく分かんない。 でも、原因がハッキリしたからか、心なしか楽になった気がする」

「そっか……あ、今日は仕事休んだら?」

「……そうだね」



ソファーから起き上がると、ブランケットが床に落ちた。


体に掛けてくれたんだ。


私が寝てる間もずっと心配してくれてたんだろうな。


鞄に入れっぱなしのケータイを取り出し、店長にメールを送った。


当日欠勤って罰金幾らだっけ……駄目だ……何も考えらんないや。



「桐生さんには何て言うの?」

「……取り敢えず病院に行って、ちゃんと検査してから考える」

「そっか……そうだね」



検査薬も間違える事がある。


けどその確率はきっと低い。



「明日病院に行ってくるね」

「一緒に行こうか?」

「ありがとう。 でも大丈夫、一人で行ける」

「……分かった。 明日病院終わったら連絡くれる?」

「うん、絶対する」







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