魅惑の果実
_ピンポーン。



「けんと!?」



キラキラ目を輝かせる帝。


面倒見のいい健人にかなり懐いてる。



「よし! 一緒に健人たちをお出迎えに行こう!!」

「行こぉ〜〜!!」



ソファーから飛び降りた帝は明日香と手を繋ぎ、走ってリビングを出て行った。


いつも明日香が一緒にはしゃいでくれるから、正直かなり助かってる。


リビングのドアの向こう側から、帝のキャッキャッはしゃぐ声が聞こえてきた。


ドタドタと煩い足音が近づいてきて、勢いよくドアが開いた。



「美月!! ちょっ、こ、子供って!? 何!?」



翔の背後から顔を出した健人。


その肩に乗ってニコニコ笑ってる帝。



「可愛いでしょ? 帝、ご挨拶した?」

「かぐら みかど、三才です!!」

「御堂 翔、二十歳です……って、違くて!! 美月結……」

「はなび〜〜!!」



帝の元気な声が翔の言葉を見事に遮った。


明日香はお腹を抱えて大笑い。



「私たち先に花火してるからさ、二人でちょっと話なよ」

「え、でも……」

「帝は俺たちが見てるんで、大丈夫ですから」

「じゃあ、お願い」



二人の言葉に甘えて、まだ間抜け面の翔とリビングに残った。






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