魅惑の果実
「ちょっと待って!」



花火をしていたら、翔が急に大きな声を上げた。



「何で健人は知ってんのに、俺は秘密にされてたわけ!?」

「いや、それには色々と事情があんのよ」

「事情って何!?」

「それは私から説明しよ〜じゃないか!」



得意げな表情をした明日香が火のついた花火を掲げた。



「ちょっ、危ないって!!」

「あ、ごっめぇん」



火の消えた花火を水を張ったバケツに捨てると、明日香は翔に説明をし始めた。


私は帝と花火をしながら話を聞いていた。



「私が大学一年の時に健人と微妙な時期があったの知ってる?」

「んー……そんな事もあった様な、なかった様な?」

「明日香の様子が可笑しくて、何か隠し事してる気がするって相談しただろ」

「ん? そういえばそんな相談されたね」



あははと笑ってる翔に私は苦笑い。


本当、相変わらずって感じ。



「帝はあんな適当になっちゃダメだからねぇ?」

「ねぇ?」



帝に小さな声で話しかけると、帝は分かってないみたいだけど笑顔で返事をしてきた。


もう!


食べたいくらい可愛い。





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