魅惑の果実
まだ数回しか働いてないお店だけど、割と居心地はいい。


下品に触ってくる客もいないし、お酒も無理に飲ませるような人もいない。


お姉様方の派閥はよく分かんないけど、私には今のところ関係のない事だろう。



「お話中失礼致します。 美月さん、お願いします」



店内で付け回しをしている店長に呼ばれ、お客様に断りを入れて席を立った。



「今VIPルームに美香さんが飲みに来てるよ」

「え!? 美香ちゃんが? お客さんとですか?」

「元お客様で今は美香さんの上司にあたる人だよ。 そして僕の大学の時の先輩でもある人」



美香ちゃんは大学を卒業して直ぐに大手弁護士事務所に就職した。


上司って事はその人も弁護士さんかな?



「お客様のお名前は阿久津(あくつ)様だよ。 女性には基本優しい人だし、美香さんも居るから大丈夫だとはおもうけど、粗相のない様にね」

「はい」



飯田店長はVIPルームのドアをノックし、ドアを開け部屋に入った。


私もその後ろに続き部屋に足を踏み入れた。





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