魅惑の果実
けど顔を見る勇気はなくて、彼の胸に顔を埋めた。
「帰ったんじゃなかったの?」
彼の胸元のシャツをギュッと掴むと、彼は抱きしめる腕に力を入れた。
この腕の中の感覚を忘れた事はない。
「ここで見ていた」
「え……?」
バッと部屋を見渡すと、たくさんのモニターが設置されていた。
フロアや各VIPルームの映像、そして音声が流れている。
嘘……。
「全部聞いてたの!?」
「あぁ」
何か問題でも?と言わんばかりの顔をされ唖然となった。
そんな私の頬を、桐生さんは親指の腹で撫で下ろし、顎をクイっと掴み上げた。
その指から、視線から逃げる事が出来なかった。
「盗み聴きなんて……悪趣味……ここで見た事聞いた事は全部忘れ……」
「俺に聴かせたいが為に、あいつは美月に全部ぶちまけろと言ったんだ」
「それっ……大雅さんは部屋にカメラ付いてるって知ってたの!?」
「あぁ、知っている。 俺が部屋を出て直ぐにメールを送ってきた。 モニタールームで様子を見ていろとな」
何それ……全部大雅さんに仕込まれてたってこと!?
結局桐生さんには何も言わないなんて選択肢、私にはなかったって事じゃない!!
「帰ったんじゃなかったの?」
彼の胸元のシャツをギュッと掴むと、彼は抱きしめる腕に力を入れた。
この腕の中の感覚を忘れた事はない。
「ここで見ていた」
「え……?」
バッと部屋を見渡すと、たくさんのモニターが設置されていた。
フロアや各VIPルームの映像、そして音声が流れている。
嘘……。
「全部聞いてたの!?」
「あぁ」
何か問題でも?と言わんばかりの顔をされ唖然となった。
そんな私の頬を、桐生さんは親指の腹で撫で下ろし、顎をクイっと掴み上げた。
その指から、視線から逃げる事が出来なかった。
「盗み聴きなんて……悪趣味……ここで見た事聞いた事は全部忘れ……」
「俺に聴かせたいが為に、あいつは美月に全部ぶちまけろと言ったんだ」
「それっ……大雅さんは部屋にカメラ付いてるって知ってたの!?」
「あぁ、知っている。 俺が部屋を出て直ぐにメールを送ってきた。 モニタールームで様子を見ていろとな」
何それ……全部大雅さんに仕込まれてたってこと!?
結局桐生さんには何も言わないなんて選択肢、私にはなかったって事じゃない!!