魅惑の果実
「げ! もうこんな時間!! 帝、急いで食べて顔洗って歯磨きして、えっと、とにかく保育園に行く準備して!!」

「はぁい!」



私も早く会社に行く準備しなきゃヤバい!!


朝って何でいっつもこうしてバタバタしちゃうんだろう。


早く起きてる筈なんだけどな。



「それじゃ、政臣行ってくるね」

「あぁ」



そう言って私たちは軽く唇を合わせた。


行ってきますのキスはもう当たり前になっている。



「お父さん、行ってきますっっ!!」



そして帝は出かける前に政臣にギュッと抱き着くのが恒例となっている。


帝と一緒にいる時の政臣は父親の顔だけど、たまに二人で出かけた時には男の顔になる。


結婚しても生活感が出ない人。


だからなのか、どうやら今でも女性からモテモテらしい。


大雅さんの話によると、だけどね。


けどもうそんな事で不安になったりしない。


政臣に強く愛されてると思うから。


それに、絆も強くて硬いものになったと思うから。


もう何があろうと私はブレないよ。


だって、その時間さえ勿体無いと思うくらい、政臣の事、帝の事、そして産まれてくる子供の事を愛してるから……。





FIN.
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