魅惑の果実
第三話 冷たく優しい手
「それでぇ? 桐生様とはどうなってんのぉ?」



桐生様って……。


まぁ、桐生さんには様もよく似合うと思う。



「それがさ……付き合う事になったんだよね……」

「え!? 桐生様と!?」

「桐生さんなわけないじゃん……」

「え!? じゃあ誰!?」



昨夜の出来事は夢なんじゃないかと思いたい。


でも朝目を覚ますと小西さんからメールが届いていて、夢じゃなかったんだと思った。



「お店のお客さんで、小西さんって人」

「小西さんって誰!? その名前知らない!!」

「もう! ちゃんと説明するから落ち着いてよ!! ってか近い!!」



チューでもすんのかってぐらい近い明日香の顔を、手で押し返した。


目を輝かせて興味津々って顔。


私は小西さんと出会った時から昨日までの事を大まかに話した。


話しながら、そういえばあんな事があったなとか、あんな事言われたなとか、色んなことを思い出した。


出会った頃から変わらない小西さんの優しさ。


変わらないというか、今の方が優しいかもしれない。





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