魅惑の果実
知りたい。
もっと知りたい、桐生さんの事。
私、やっぱり小西さんとは……。
「莉乃、今日お店終わってから空いてる?」
「え……あの、えと……もしかしたらアフターになりそうなんです」
「そっか。 ならしかたがないよね。 もしアフターなかったら俺と過ごしてくれる?」
「うん、勿論」
「アフターになっても終わってからでいいか連絡ちょうだい? やっぱり少しでもいいから会いたい」
「あ、はい、分かりました」
私はいつからこんなに勝手に笑顔が出るようになったんだろう。
子供の頃からかもしれない。
早く桐生さんのところに戻りたい。
そばに行きたい。
私は桐生さんの事が好きで堪らない。
「俺はそろそろ帰るよ」
「お家に帰るんですか?」
「いや、知り合いの店に寄って帰るよ」
小西さんを下まで見送り、タクシーに乗る瞬間、触れるだけのキスをされた。
笑顔で手を振って見送り、小西さんの乗るタクシーが見えなくなった瞬間、私は唇を拭った。
何度も何度も……。
ヒリヒリする唇に指先で触れ、泣きそうになりながらもお店に戻った。
もっと知りたい、桐生さんの事。
私、やっぱり小西さんとは……。
「莉乃、今日お店終わってから空いてる?」
「え……あの、えと……もしかしたらアフターになりそうなんです」
「そっか。 ならしかたがないよね。 もしアフターなかったら俺と過ごしてくれる?」
「うん、勿論」
「アフターになっても終わってからでいいか連絡ちょうだい? やっぱり少しでもいいから会いたい」
「あ、はい、分かりました」
私はいつからこんなに勝手に笑顔が出るようになったんだろう。
子供の頃からかもしれない。
早く桐生さんのところに戻りたい。
そばに行きたい。
私は桐生さんの事が好きで堪らない。
「俺はそろそろ帰るよ」
「お家に帰るんですか?」
「いや、知り合いの店に寄って帰るよ」
小西さんを下まで見送り、タクシーに乗る瞬間、触れるだけのキスをされた。
笑顔で手を振って見送り、小西さんの乗るタクシーが見えなくなった瞬間、私は唇を拭った。
何度も何度も……。
ヒリヒリする唇に指先で触れ、泣きそうになりながらもお店に戻った。