魅惑の果実
「せっかく寝てたのに邪魔してごめん。 部屋に戻る……」



え!?


ベッドから足を下ろすと腕を掴まれ、ベッドの中に引き摺り込まれた。



「桐生さん!?」

「出て行けとは言っていないだろう」



ベッドの中で抱きしめられ、胸がドキドキと高鳴る。


頬が直に肌に触れ、いつもよりも桐生さんの温もりを感じられる。


凄く気持ちがいい。



「ごめんね……」

「お前は最近謝ってばかりだな」

「そうかもね……でも、本当に私が悪いから……。 小西さんの事、忠告してくれてたのにまんまとやられて、桐生さんに迷惑かけてごめんなさい」

「迷惑だと思うならおとなしくしていろ」

「おとなしいのはおとなしいじゃん、私」

「無自覚か……たちが悪いな」

「もう! とにかく気を付けろって事でしょ!?」



あっ……。


顔を上げると直ぐ近くに桐生さんのがあった。


近い……。


もう少し顔をあげれば唇が触れてしまいそ……。



「んっ……ぁっ……」



塞がれた唇。


桐生さんの熱を感じる。


触れ合う唇、頬に触れる大きな手、全身に感じる温もり、全てが私の思考や理性を鈍らせる。





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