魅惑の果実
目を覚ますと既に桐生さんの姿は無くなっていた。


もう十二時……起きなきゃ……。


唇に触れ、頬が綻ぶ。


キス、しちゃった……。


ガラにもなくベッドの上で、興奮のあまりバタバタと暴れた。


キスをした後、何することもなく、ただ抱きしめていてくれた。


もしかしたら……と思っていたけど、キス以上はされなかった。


桐生さんとなら全然良かったのに……。


……ん?


今の私たちの関係って何?


付き合って……はないよね?


友達以上恋人未満的な?


これでヤッてたらセフレ?



「それはヤダ……」



かといって、直接本人になんて聞けばいいのか分からなかった。


次会った時の桐生さんの態度を見て考えよう。


うん、そうしよう。


部屋を出てリビングに行くと、そこにも桐生さんはいなかった。


仕事?だよね。


私の所為で全然寝れなかったよね……本当に申し訳ないことしちゃった。



「あ……バッグ!!」



ソファーの上に私のバッグが置いてあった。


見つけてくれたんだ。





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