懐古語り
年が明けて、二人目の女御が入った。
しかし、はじめの女御への寵愛は変わらないという。
女御は既に懐妊しており、女御への愛は一層と言ったところだろうか。
兄は優しい人だから、もう一人の女御にも同じように接しているはずだが、そちらが霞んでしまうほどにはじめの女御に恋い焦がれているのだ。
そうなると、そこまで兄を夢中にさせるその女御が気になってくる。
噂の通り、その美しさで兄を惑わせているのだろうか。
絶世の美女というその容姿にも、兄を夢中にさせているという事柄にも気になってしまう。
一目見てみたいと。
普段から、私と兄は仲が良かったし、兄の居所にはよく顔を出していたから簡単だった。
「ねぇ、兄上が寵愛する女御ってどんな人?次は何時くるの?」
兄が居ない隙に、見馴れない新しい女房に手をつけた。
「っ、みやっさま、お人が悪うござい、っますっ……っ」
暗がりで声を押し殺す女房の耳元で囁く。
「お願い」
一層息の上がった女房へ触れながらもう一度囁く。
「ね」
「っあ、あぁっ」
「み、明後に、っあ、ちにっ…あ」
女房が先ほどよりも潤ったのを確認して、女房の腰を持つ。
「そう、ありがとう」