蛟神社物語−星花降る夜−
星花は風竜の社に連れて来られた。



星花「どうして私をここに連れてきたの?」


風竜「君が星花の巫女だからだ。私の名は風白。手伝ってもらいたい事がある。」


星花「何をするの?」


風白「死んでしまった私の恋人を黄泉がえらせたいんだ。」


星花「それはできません。死者の魂を呼び寄せるなんて…絶対にいけないわ。」


「星花の言うとおりだよ。」


星花「尊緑。」


尊緑「死した魂を現世によみがえらせれば、輪廻が乱れる。輪廻を乱す事は大罪だ。」


風白「だが…!私は風美にまた会いたい…!会って風美に触れたいんだ…!


尊緑「僕も……愛する人を失えば……同じ事をしようとすると思う。でも罪を犯してしまえば、二度と風美さんに会えなくなるんですよ!」


風白「っ…!」


尊緑「風美さんに会う方法が一つあります。」


風白「本当か?!!」


尊緑「風美さんの魂を、僕がきちんと空へ送ります。だから風美さんの魂が空に昇ると同時に空に昇ってください。……風美さんは、風白さんの子どもを身篭り静かに生んだ。でも天人達は、半神の子を認めず・・・それで風美さんは天に還れないんです。」


風白「わかった。天に戻ったら天人達を説得しよう。」



そう言うと、風白は竜の姿になった。


尊緑「風竜の巫女・風美の魂を、空に還す。帰天!」


風美の魂が、空に還っていく。それと同時に竜になった風白も空に昇る。


風白[ありがとう。]


風美《ありがとうございます。》
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