- 黒 の 魔 法 -
「リア!やったね」
さっきとは全然違う、いつものすずの声が響く。
「まって、まだ…」
「やっぱ、すごいよ!」
まだ、
冬馬が戦えるかもしれない。
そう言おうと思ったけど、言えなかった。
「もう帰ろうか!」
「すず… 私はココにいたい。」
地面に視線を移す。
「なんで?ねぇ、なんで?勝ったのに?私の力がとっても弱くて、リアの力は凄かったよ。私なんて必要な…」
「違うっ!すず!私はすずのおかげで戦えたんだよ?」
私はすずの肩を揺らす。
なんで、そう言うの。
皆のおかげで、こうして正面から戦えて今の私がいるのに。
「何の役にも立てなかった。私は…」
ふと、視界に入ったのは冬馬が“力の実”を食べていた瞬間だった。