- 黒 の 魔 法 -
「お母さん?」
リアは靴を脱いで恐る恐るリビングへ向かう。
リビングにはいつも母がいたからだ。
ーーーガチャ…
「…お母さ、」
すると、リアの目からポロッと涙が一粒流れた。
動かない体。
冷たい手。
開かない目。
お母さんが血まみれで倒れていた。
「…うっ…お、があざん、」
リアは泣いた。一人ぼっちで。
お父さんは、リアが産まれる数日前に死んでしまったのである。
だから、お母さんとの二人暮らしだったのだ。
「お母さん!お、きて?ね、おきて?」
何度、言ったのだろうか。
「…お母さん…うっ、…うっ…」
リアは静かに泣いた。