- 黒 の 魔 法 -

10年前の6月29日…


「リア、こっちこっち!!!」


冬馬はリアの手を握りながら走っている。


「とうま、早いよー」


冬馬は急に立ち止まった。


「と、うま?」


「リア、ここどこだと思う?」


大きな建物。


昔行ったことがあった。


「図書館?」


「そうだよ!じゃ、はいろっか」


冬馬は昔話のコーナーの前で立ち止まった。


「ちょっとまってねー」


冬馬は本棚の中にある本の表紙を一冊一冊見ていく。


「これじゃなくて...」


冬馬は青色の表紙の本を手にすると、目を輝かせた。


「あった!!」


「なにがあったの?」


「七夕の本!!」


「七夕?なにそれ?」


リアは知らなかった。


「あのね、1年に1度、7月7日に織姫と彦星が会うお話だよ」


「すごいね!!」


「じゃあ...」

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