- 黒 の 魔 法 -


怖い…


冬馬がとても怖かった。


「リア、元気ないね」


心配そうに私を見る、スズ。


「元気だよ!」


声のトーンいつもより高くしてそう言った。


「悩んでいることがあったらいつでも言ってね?」


「私、悩んでなんか…」


「リア、嘘ついちゃだめ。」


真剣な眼差しで見つめられる。


助けてって言いたい。


でもね、皆を傷つけたくないの。


また、失いたくない…


私の目からいくつもの涙が出てきた。


すずにバレる前に私は背を向けた。


「…私の事はほっといて」


「リア‼︎」


すずの声は私には届かなかった。


いや、届かせなかった。


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