- 黒 の 魔 法 -
私は授業をサボってある場所へ向かった。
今日は曇り空。
雨が今にも降りそうで、なんとも微妙な天気。雨になるか晴れになるか分からない。
「黒瞬」
着いたのは、懐かしい町だった。
懐かしい道を歩く。
私は図書館の前で立ち止まった。
「リア?」
懐かしい声が私の心を冷たく痛くする。
嫌でも振り向かなければならない…
「…久しぶり、冬馬。」
そう、もう会ってしまった。
私が一番信じていたけど、一番怖かった人。
冬馬は10年前より、大人っぽくなっていて、灰色の髪が懐かしく感じる。だが、瞳は空と同じように曇っていた。
「リア、来てくれたんだね。
迎えに行こうと思っていたところだよ。」
「…」
迎えに来させなかったのは、学校で迎えに来たらすず達にバレる恐れがあったから。