君を抱く手なのに傷付けそうで
先ほどと同じ行為に移る。もう何度目か、けれども数億回繰り返したところで、俺の気持ちは『初めての時』と変わらない。
――ずっと、こうしていたい。
「これ以上は、襲われちゃいますかね」
「しないと分かっているくせに。――俺は、つまらない男だから」
愛する女性に手を出すことさえも、怯えてしまう。男らしくない、しかしてそれで安心出来る。
「継実さんが私を襲う図は、どんな感じなんでしょうね」
「知りたくない答えだ」
認めたくないから、知りたくない。
君を括りつけたい事実なんか、要らないんだ。