君を抱く手なのに傷付けそうで
(三)
「出来たーっ」
と、疲れたーとばんざーいを兼ね備えた腕伸ばしをする千花。
両手溢れるほどにあったガラスピースの山も、組み立ててれば拳大。別の見方をすれば、小さなピースがあそこまでの大きさになったとも捉えられるが。
後者で捉える彼女は出来上がった青い鳥を満足げに眺め、棚に飾る。
「お前はあえてクマの隣に置いてあげましょう。弱肉強食なのだよ」
悪役のふりをしつつ、くまのプーの隣に青い鳥を置く彼女だった。
「一、二、三、四にー、八ー……どんどん増えて行きますねぇ。パズル」
それらは全て彼女が組み立てたもの。毎度のことながら、彼女は壁掛けの時計を見て、声を上げる。
「深夜一時……っ」
定められた門限はないが、ぎょっとしてしまう数字に、彼女はもう帰りますと言ってきた。