君を抱く手なのに傷付けそうで


出来の悪い子でもあやすような口ぶりは、まさにそうなのだろう。


後悔していた。行動したことに。


――“手遅れ”になるじゃないか。


「え、あの……」


困惑する彼女は、メガネをかけさせられたから。


「2.0にはクラクラします……」


「目を瞑ればいい」


従い、瞑る彼女を確認したあと、肩を震わせる。


「――、笑ってますか?」


「ごめん」


隠しきれない喜びがあった。彼女を縛り付けて笑うだなんて見られたくないから、目を閉じてもらったのに。


ああ、俺はやはり異常なんだ。


手遅れ。後戻りが出来ないから、最後までやろうとしている。


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