君を抱く手なのに傷付けそうで
『今夜、会わないか』
その一文を送る。
相対する男から目を離し、俺のメールを見ている彼女で――優越感に浸ってしまう。
“あれ”より俺を優先してくれる喜び。やっぱり彼女は、俺が一番なんだと嬉しくて。
『はい。私も、継実(つぐみ)さんに会いたかったです』
同時に、今夜来る彼女に何かしてしまうのではないかと焦燥する。
最悪な恋人に、クズな男になりたくない。けれども、愛したいのは事実で――
「ごめん……」
俺の愛は、行き過ぎているんだ。