君を抱く手なのに傷付けそうで
(二)
彼女――千花に言わせると、俺の部屋は『大人の部屋』だそうだ。
殺風景を柔らかく言い直した千花の優しさだった。
「あ、またパズル組み立てているんですか」
棚上にあるパズル――立体パズルという積木感覚で組み立てるパズルを千花は手に取った。
ガラスのピース、出来上がりもまた然りで。氷の結晶のようだと店で見つけた千花が言ったときから、俺の趣味は立体パズルと“なっている”。
「今度は、青い鳥なんですねぇ」
一割も出来ていない状態でも、脇に置いてある箱のパッケージで察したようだ。
「良かったら、組み立ててくれないか」
「えぇ、“また”ですか」
「目が疲れるんだよ」