君を抱く手なのに傷付けそうで
メガネをかけ直して見れば、笑う千花と目があった。
「じゃあ、やっていきますね」
二人がけのソファーにも座らず、カーペットに座る彼女はガラステーブルと密着していた。
青いガラスピースを広げ、説明書を見ながら組み立てていく。
その顔は真剣そのもの。声をかければ返事をしてくれるが、目線は常にガラスピース。――時計すらも気にしない。
立体パズルを買って来るのは、千花が好きだからではない。ただの平面パズルでも時間がかかるのに、立体ともなれば倍はかかる。
――浅ましいんだ、俺は。
少しでも千花を、この部屋に留めたくて、こんな卑怯な手を使っている。