君を抱く手なのに傷付けそうで
立体パズルなければ、千花は程なくして帰るだろう。それだけ俺の部屋には、時間を潰せるものがない。
恋人同士、何もなくともいちゃいちゃしてもいいが、毎回そうでは飽きも来る。
飽きなど来ない、見つめあっているだけでも一晩過ごせる俺と千花は違う。
「俺、つまらない人間かな」
ネクタイを外し、ソファーに深く腰掛け、斜め下にいる彼女を見る。
独り言か質問か、なるのは彼女次第だが。
「どうあっても、継実さんは私の大好きな人ですよー」
返ってきた答え一つで、世界一の幸せ者だと思える始末。
長い髪の隙間から見えた首筋に指を添えれば、くすぐったそうに見上げられた。