君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
着いたエレベーターに乗り、一階を押す。

さっきまでは田中の仕事を一緒にやろうと気持ちが傾いてしまっていたけど、あとで断りの連絡を入れておかないとな。

いいさ。辞令通りやってやろうじゃないか。それに日本に戻ってこられるんだ。

「絶対に渡さない…」

もうなにがあっても菜々子だけは絶対に。相手が誰であろうと。

エレベーターは一階にたどり着き、ドアが開く。
そのまま菜々子の待つ家へと向かった。

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ーーー

家のドアの前。インターホンを押そうとしたが、つい手が止まってしまった。

もう菜々子、帰ってきているよな?
定時に上がったと言っていたし、きっとご飯の用意をしてくれているに違いない。

いつも通りにしないとな。
また昨日みたいに感情を出さないようにしないと。…菜々子はなにも悪くないんだから。

そう自分に言い聞かせインターホンを押す。

『はーい』

すると家の中から聞こえてきたのは愛しい彼女の声。

「おかえりなさい、圭吾さん」

そう言って出迎えてくれたのはエプロン姿の菜々子。

「…ただいま」

家に入ると美味しそうな匂いが鼻をかすめる。

「ごめんなさい、まだ準備が終わっていなくて。ご飯もう少し待っててもらってもいいですか?」

「あぁ、分かったよ」

菜々子の後に続いて家の中へと入る。
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