君が好き。2～大好きな彼と結婚する方法～
菜々子はそのままキッチンへと向かい、料理に取り掛かる。
そんな菜々子の後ろ姿をつい見つめてしまっていた。

「今日はビーフシチューにしてみました！」

「そっか、それは楽しみだな」

着替えようと思い寝室へと向かう。

「今日は珍しく副社長が早く帰れって言うんですよ。最近なかなか帰してくれなかったのに」

菜々子のその言葉に思わず足が止まってしまった。

「あっ！副社長、たった一日で良くなっていたんですよ？あんなに熱があったのに。朝見たときはびっくりしちゃいました」

こちらを見ることなく話す菜々子。菜々子にとってみたらなんてことない会話。
普段の俺だったら「そうだったのか」なんて言いながら普通に返せていた。
…だけど今の俺には無理な話。
菜々子の口から副社長の話なんて聞きたくない。…そんな楽しそうに話してほしくない。

「それでー…」

そのままキッチンへと向かい料理をしている菜々子を後ろから抱きしめる。

「えっ！け、圭吾さん！？」

菜々子が手にしているフライ返しを奪い、顔だけこちらを向かせ口を塞ぐ。

離れようとする唇を逃がさないよう頬を手で押さえ、何度も口づけをする。
もうこの口から副社長の話なんて聞きたくない。
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