君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
そんな橘を見習って俺も仕事に取り掛かった。

開発部に就任して数日。まずは仕事の流れやデータなど色々なことを覚えないと仕事にならない。
一つ一つ頭の中に叩き込んでいくしかない。

そして一山超えたら、連絡してみよう。仕事のことで電話するのではなく、友人として。

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「それだはお先に失礼します」

「お疲れ様」

日本に戻ってから最初の土日は仕事に追われ、なんとかメドがついてきた週明けの火曜日。
定時を過ぎ、いつものように俺の元に挨拶に来るとそのまま橘は帰っていく。

本当に凄い奴だと思う。定時で上がるとは言え、仕事はミスなく早い。あれだけの仕事をこなしてこれから子供を迎えに行き、家のことをやるんだろ?大したもんだと思う。

もし菜々子と結婚して、いつか子供が生まれても菜々子も橘のように家事も子育ても頑張るって言うんだろうな。

そんなことを考えてくると、どうしようもなく菜々子に会いたくなってしまう。

書類を見る目を窓の方へと向ける。

外はいつの間にか真っ暗になっていた。

「…電話してみるか」

ほとんどの社員が帰宅してしまい静まり返っているオフィス内にポツリと漏れる声。

書類をまとめ、パソコンの電源を落とし、そのまま開発部を後にした。
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