君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
だって聞いてしまったら、すぐにでも圭吾さんに会いたくなってしまいそうだったから…。
なにもかもなかったことにして、圭吾さんの胸に飛び込めたらいいのにな。

…本当は分かってる。あの時はあまりにも頭にきちゃってあんなこと言ってしまったけど。
圭吾さんにとって大貫さんとの過去がどんなに辛いものだったか、私が一番分かっている。だから異動になった時、ちゃんと自分の気持ちと向き合ってほしくて別れを選んだ。

過去と向き合ってくれて、そして圭吾さんは私を好きだって言ってくれた。
あの時は本当に嬉しくて、嬉しくて。
ずっと大貫さんという存在には勝てないんだって思っていたから本当に嬉しかった。

過去と向き合っても、私と結婚したいって言ってくれたことが本当に嬉しくて。
…最低かもしれないけど、やっと大貫さんに勝てたんだって思った。

だから余計に悔しかった。
あぁ、どんなに私を好きだって言ってくれたって圭吾さんの中から、大貫さんの存在は消えることがないんだって思うと。

圭吾さんがそんな理由から仕事を辞めてほしいって言いたくなる気持ちも分かる。
だって私がそうだったから…。

ニューヨーク支店に異動になって毎日大貫さんと一緒に仕事をするのかと思ったら、どうしようもない気持ちになってしまって。…勿論圭吾さんにちゃんと自分の気持ちと向き合ってほしい気持ちもあったけど、私は逃げてしまったのかもしれない。
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