君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「だからさ、亜希子がまた遊びに来て欲しいみたいだから来てくれよ。今度は俺が休みの日に来てもらえれば光太みてられるしさ」


「...それは勿論」


行きたいです!ってスパッと言いたいのに、つい隣にいる中山さんが気になって言えない。


「亜希子、櫻田くらいしかこっちに友達いないみたいだし。これからも仲良くしてやってな」


「はい」


藤原さんって本当に橘さんのことが好きで大切に思っているんだろうな。

だってさっきの顔。優しい顔しちゃって。言葉に出さなくても顔を見れば分かる。

結婚して夫婦になるってこういうことなのかな?


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「さっさと諦めればいいのに。って思いませんでした?さっき」


「えっ、なっ、何?急に」


定食屋からの帰り道。藤原さんと小山君達は前を歩いていて、みんなに聞こえないよう隣を歩く中山さんがそっと話し掛けてきた。


「だって部長のあの顔、見ました?超奥さん大好きオーラ出していたじゃないですか!...まぁ、これくらいで諦められる気持ちじゃないんで頑張りますけどね」


中山さん...。


「...ねぇ、なんで藤原さんなの?」


「えっ?」


「だって藤原さんは結婚してて子供もいるし。それに中山さんなら他にいくらでもいい人がいるじゃない?...なのになんで藤原さんなのかなって」


昨日からずっと聞きたかったこと。


「えー。...そんなの好きだからじゃないですか」


好きだから?


「櫻田さんだって彼氏がいるなら分かると思うんですけど。好きって気持ちに理由なんてないですよ。...例え好きな人がたまたま結婚してたとしても」


「そうかもしれないけど...」


「それになにもしないで諦めるなんて嫌じゃないですか。もしかしたら、藤原さんの運命の人は私かもしれませんしね。...奥さんには悪いですけど、私絶対に諦めませんから。止めても無駄ですよ?」


「中山さん...」


それ以上私はなにも言えなくなってしまった。
確かに中山さんの言う通り、中山さんはただ藤原さんが好きなだけで、悪いことなんてなにもしていない。
藤原さんがその気にならなければいいだけ、なんだよね。
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