君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
こんな時まで、いちいち優しい菜々子につい口元が緩んじまう。

「あぁ、サンキュ。もしなにか分かったら電話くれ」

そう言って電話を切る。
菜々子は濡れないところにいろって言ってくれたけど……。

近くを見渡すものの、この場所が見えるところで、雨をしのげそうな場所はなかった。
それでも雨は容赦なく強く降り注ぐ。

「最悪……」

雨を拭うものの、顔や髪、そして全身に打ち付ける。

せっかく菜々子がやってくれたっていうのに…。そして、こんな私を和也君に見て欲しかったのに…。

「ついてねぇ…」

つい笑ってしまった。
バチが当たったのかもしれない。普段から全く女子力磨いていなかったくせに、急にこんなことして有頂天になったりしてたから……。

だけど別に私にはいくらだってバチが当たってもいい。
和也君に何もなければ、これくらい屁でもねぇし!

傘を差した通行人は、皆傘もささず濡れがままの私を、不思議そうに見ては通り過ぎて行く。
だけどそんな視線なんて気にしている余裕なんてなかった。
ただ、和也君のことが心配で、堪らなくて。

菜々子からも連絡がなくて、不安は募るばかり。

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