君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「終わった時、ちょうど櫻田さんから電話をもらって。五條さんが待っているときいてすぐに連絡しようと思ったのですが、連絡している時間が勿体ないと思って。…でも濡れないところにいると思うからって聞いていたのに、こんなに濡れていたから、つい……」

そう言うと、申し訳なさそうに私を見つめてくる和也君。

「和也君……」

その瞳に、柄にもなく嫌でも胸が高鳴っちまう。
そんな目、しないで欲しい。
勘違いしそうになる。和也君の気持ちに……。

「とにかく行きましょう」

「え……わっ!?おいっ!」

急に私の腕を掴むと、大股で歩き出した和也君に、私は引っ張られるように、ついていくだけで精一杯だった。

「どこ行くんだよ!」

「そんな恰好でどこに行けると言うんですか?」

「…は?」

一瞬キョトンとしてしまったものの、今の自分の現状を思い出す。

そうだった!!私、すっげびしょ濡れだったんだった!!
しかもきっとせっかく菜々子にしてもらったメイクも台無し状態で、私の顔は酷い状態になっているに違いない。
それなのに、私……さっき和也君に見つめられては、呑気にドキドキしちまっていたじゃねぇか!!
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