君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
そうだ。年甲斐もなく運命の人だって思った。
こんなドラマみたいな再会があるんだって。

だから、簡単に諦めるわけにはいかねぇんだよ。

「いいよ、今はまだただの飲み友達でも。……私はただ、和也君にこうやって会えるだけで、充分だから」

「五條さん……」

そうだ。
私はこうやって和也君に会えるだけで、充分幸せなんだ。
だからさ、そんな悲しい顔なんてしねぇで欲しい。

「楽しいって思ってくれていて、嬉しいし。……また時間あったら付き合ってくれよな?」

そんな和也君の顔を見ているのが辛くて、すぐさまドアを開ける。

「……っ!五條さんっ!!」

それでも最後はやっぱり笑顔で、バイバイしたい。

「またなっ!」

一瞬振り返り、驚く和也君に笑顔を見せ、ドアを閉めるとそのまま全力疾走で自宅のアパートの階段を駆け上がる。
雨は容赦なく身体に打ち付け、玄関のドアを開け中に入った時には、全身びしょ濡れ状態だった。

「……あーあ。菜々子に怒られちまうかも」

今の自分の現状を見て、つい笑ってしまった。
菜々子から借りた服は、汚れている。これ……クリーニングで落ちっかな……?

そんなことを考えながらも、止めどなく溢れてしまう涙――。
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