君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
素直に感謝の言葉を口にするのは、いくつになっても照れ臭いもんだ。

二人の顔を見て伝えることなんてできず、ついそっぽ向いてしまう。

「……もうしっかりいつもの桜子だな?ならさっさと行けよ」

「……は?どこにだよ」

「決まってんだろ?……桜子が行くところなんて。今行かないでどうする」

翔太……。

「そう、だよな……」

昨日は、言うだけ言って逃げるように帰ってきちまったし。
……諦めたくない。
ならちゃんと和也君の目を見て、私の気持ちを伝えないとだよな。

翔太に言われ、急に気持ちが高ぶってきた。

「よしっ!いっちょ行ってくっか!」

そのまま勢いよく立ち上がり、ついガッツポーズしてしまう。
だけど二人はそんな私を笑うことなく、次々と言葉を掛けてくれた。

「その調子だ。さっさと行ってこい」

「桜子さん、ファイトです!!」

そんな二人に自然と笑顔になってしまう。

「おう!行ってくるっ!わりぃな、勝手に押しかけて。この埋め合わせはまたすっから」

「期待しないで待ってるよ」

相変わらずな翔太に笑いながらも、そのまま家を出る。
そしてすぐに和也君の携帯を鳴らすものの、電話に出なかった。

「……もしかして仕事かな?」

そんな考えが頭をよぎり、菜々子に電話を掛けるものの、やっぱり菜々子も電話に出なかった。



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